このブログではジャンルを問わずデカフェやノンカフェイン全般をご紹介していますが、私が一番好んで飲んでいるのがルイボスティーです。
ルイボスはカフェインフリーですからいくら飲んでも身体にダメージがありません。それでも紅茶やコーヒーのような、ほっと一息つけるリラックス効果を感じます。1日中家にいるときなどは、リットル単位で飲んでいるのではないかと思います。
ルイボスについて、個人的な興味でいろいろ調べていますと、どうもおかしいな、と思うことがありまして、それを取り上げたいと思います。
ルイボスティーに含まれるミネラルについてです。
どのサイトを見てもルイボスにはミネラルが豊富と記載してあるのですが、その根拠を追いかけると、ルイボスにミネラルが多いという定量的なデータは発見できません。どうやら、実はルイボスティーにはミネラルは大して入っていないようです。
まずミネラルとは何か?
ミネラルとは、身体を維持するのに必要な栄養素で、5大栄養素の1つです。人間が体内で合成できないので食物から摂取しなければなりません。
詳細の説明は下記を引用します。
生体を構成する主要な4元素(酸素・炭素・水素・窒素)以外のものの総称。代表的なものはカルシウム・リン・カリウムなど。
生体を構成する主要な4元素(酸素・炭素・水素・窒素)以外のものの総称で、無機質ともいいます。
ミネラルは体内で合成できないため食物として摂る必要があります。不足した場合は欠乏症やさまざまな不調が発生しますが、摂りすぎた場合にも過剰症や中毒を起こすものがあります。
現在のところ人間の身体に必要とされるミネラルは16種類とされ、これを必須ミネラルと呼びます。人体に含まれる量によって、主要ミネラル7種類と微量ミネラル9種類に分けられています。
主要ミネラルはカルシウム・リン・カリウム・硫黄・塩素・ナトリウム・マグネシウムで、微量ミネラルは鉄・亜鉛・銅・マンガン・クロム・ヨウ素・セレン・モリブデン・コバルトです。
これら必須ミネラルのうち、塩素・硫黄・コバルト以外の13種類については、「日本人の食事摂取基準(2005年版)」で摂取量の指標が定められています。似通った性質のミネラル同士ではお互いの吸収や働きを妨げることがあるため、バランスよく摂ることが必要です。
ミネラル=13種類です。必要摂取量が多いミネラルと少ないミネラルで多量ミネラル・微量ミネラルに分けられます。
カルシウム・リン・カリウム・ナトリウム・マグネシウム
鉄・亜鉛・銅・マンガン・クロム・ヨウ素・セレン・モリブデン
日本人の食事摂取基準
これらのミネラルをいったい1日にどれくらい摂取すれば良いのか、の指針となるのが、厚生労働省が5年ごとに作成している日本人の食事摂取基準です。
最新版は2015年です。
多量ミネラル・微量ミネラルごとに整理してみます。
女性18歳~29歳、30歳~49歳、50歳~69歳の3区分を参照し数値が異なる場合は数値の大きいものを記載しています。
- ナトリウム…推定平均必要量600mg
- カリウム…目安量2000mg・目標量2600mg
- カルシウム…推定平均必要量550mg・推奨量650mg
- マグネシウム…推定平均必要量240mg・推奨量290mg
- リン…目安量800mg
- 鉄☆…推定平均必要量5.5mg・推奨量6.5mg
- 亜鉛☆…推定平均必要量6mg・推奨量8mg
- 銅☆…推定平均必要量0.6mg・推奨量0.8mg
- マンガン…目安量3.5mg
- ヨウ素☆…推定平均必要量95μg・推奨量130μg
- セレン☆…推定平均必要量20μg・推奨量25μg
- クロム☆…目安量10μg
- モリブデン★…推定平均必要量20μg・推奨量25μg
- ☆妊娠中・授乳中付加あり
- ★授乳中付加あり
ルイボスに含まれるミネラル量
それではルイボスに含まれるミネラル量を見ていきます。
南アフリカの論文
南アフリカのSouth African Journal of Scienceというジャーナルで2012年に発表された論文です。
茶(カメリア・シネンシス)・コカ・マテ・ルイボス等に含まれるミネラル含量を比較したものになります。
ルイボス抽出液250ml中ミネラル量は次のように記載がありました。
カルシウム | 0.83mg |
---|---|
マグネシウム | 1.52mg |
リン | 0.84mg |
カリウム | 6.4mg |
鉄 | 0.02mg |
マンガン | 0.04mg |
亜鉛 | 0.01mg |
銅 | 0.00mg |
硫黄 | 0.92mg |
ナトリウム | 6.52mg |
※茶葉1.0gを100mlで抽出
カルディ ルイボスティーの栄養成分表示
1つだけでは心もとないので、もう1つ引用します。
カリウム、カルシウム、マグネシウムに限定されていますが、カルディルイボスティーの栄養成分に記載がありましたの。
カリウム | 1.1mg |
---|---|
カルシウム | 0.17mg |
マグネシウム | 0.26mg |
※茶葉1.2gを300mlの沸騰水で3分間抽出
上の論文の方が少しミネラル量が多いですが、抽出条件をみると、論文の方が3倍ほど濃く抽出していますので、そんなにずれた値ではないことが分かりました。
コーヒー・紅茶に含まれるミネラル量
続いて、比較のためにコーヒーと紅茶のミネラル量を記載します。
USDAのデータになります。
コーヒー
8オンス(237g)でのミネラル量です。
カルシウム | 5mg |
---|---|
鉄 | 0.02mg |
マグネシウム | 7mg |
リン | 7mg |
カリウム | 116mg |
ナトリウム | 5mg |
亜鉛 | 0.05mg |
※14209, Beverages, coffee, brewed, prepared with tap water
紅茶
同じく8オンス(237g)でのミネラル量です。
カルシウム | 0mg |
---|---|
鉄 | 0.05mg |
マグネシウム | 7mg |
リン | 2mg |
カリウム | 88mg |
ナトリウム | 7mg |
亜鉛 | 0.05mg |
※14355, Beverages, tea, black, brewed, prepared with tap water
ルイボス・コーヒー・紅茶の比較
横で比較できるように、ルイボス・コーヒー・紅茶のミネラル量を、250mlまたは8オンス(237g)あたりで表にしました。
ミネラル | ルイボス | コーヒー | 紅茶 |
カルシウム | 0.83mg | 5mg | 0mg |
鉄 | 0.02mg | 0.02mg | 0.05mg |
マグネシウム | 1.52mg | 7mg | 7mg |
リン | 0.84mg | 7mg | 2mg |
カリウム | 6.4mg | 116mg | 88mg |
ナトリウム | 6.52mg | 5mg | 7mg |
亜鉛 | 0.01mg | 0.05mg | 0.05mg |
すべての成分で、コーヒーや紅茶の方が多くなっており、ルイボス=ミネラルが豊富というのは疑問符が付きます。
必要摂取量に占める割合
ミネラル | ルイボス | コーヒー | 紅茶 |
カルシウム | <1% | <1% | <1% |
鉄 | <1% | <1% | <1% |
マグネシウム | <1% | 2% | 2% |
リン | <1% | <1% | <1% |
カリウム | <1% | 4% | 3% |
ナトリウム | 1% | <1% | 1% |
亜鉛 | <1% | <1% | <1% |
1日の摂取目安に占める割合を計算しました。
ルイボスは、ナトリウムで1%、それ以外なら1%以下で栄養学的にもほとんど意味はないと考えます。
まとめ
いろいろ調べてみましたがルイボスがミネラルたっぷりといわれている論拠は見つけられませんでした。データを見る限り、全然ミネラルは多くありません。それなのに、なぜミネラルが多いということが宣伝されるようになったのか、よくわかりませんね。ルイボスがミネラルが多いという記載はたくさんのサイトで出てきますが、数値を出しているものは皆無でした。
コーヒー・紅茶などの飲料の成分上の価値の1つに抗酸化作用をもつポリフェノールがあります。コーヒー・紅茶はポリフェノールを摂取するためにカフェインも同時に摂取してしまいますが、ルイボスはノンカフェインなのにポリフェノールをたくさん摂取できるという利点があります。他にこのような飲料はなく、これが世界的にルイボスが重宝される理由だと考えています。決してミネラルではないのです。
またルイボスに含まれるポリフェノールにも特徴があります。コーヒー・紅茶にはポリフェノールの中でも俗にタンニンと呼ばれる成分がたくさん含まれています。このタンニンは強烈な渋みの要因で、コーヒーや紅茶の味の形成要因となります。これがルイボスは全く含まれないので、味の上でのメリットとなり、海外のルイボスの販売業者はこれをアピールしています。
一般論ですが、タンニンは鉄と結合する性質があるので、鉄の吸収を阻害すると言われています。この点からもタンニンが少ないことのメリットが説かれることがあります。
ルイボスのタンニン量ですが、さきほどのカルディ ルイボスティーの栄養成分に記載があり、100mlあたり10mgとなっています。日本食品標準成分表によるとコーヒーのタンニンは250mg、紅茶は100mgとなっていますので、ルイボスのタンニン量の少なさが分かりますね。
種類 | タンニン量 |
---|---|
ルイボスティー | 10mg |
コーヒー | 250mg |
紅茶 | 100mg |
- ルイボスティーには、ミネラル類はほとんど含まれません。
- コーヒー・紅茶と比較してもはるかに少ないし、そもそもコーヒー・紅茶であっても、1日の摂取目安量からみると、ほんのわずかな量しか含んでいません。
- ルイボスティーの成分の魅力は、カフェインンフリーなのに高ポリフェノールであることです。
私が普段飲んでいて、一番おいしいと思うルイボスティーです。