妊娠中や授乳中にカフェインを控えましょう、と言われますが、そもそも摂取量の指標と言うのはあるのでしょうか。
食品摂取に関する悪影響を評価する公的な機関は、内閣府の食品安全委員会がその役割を担ってますが、残念ながらカフェイン摂取量に関して定量的な指針を出していません。
現時点で良く参考にされているのは、
- 世界保健機関
- カナダ保健省(子供の摂取量の指針がある)
- 英国食品基準庁(数値が厳しい)
の3つが多いようですので下記にまとめてみます。
妊娠・授乳中のカフェイン摂取量の目安
世界保健機関(WHO)
国をまたいだ公的機関なので参考にされやすいです。
世界基準と言ってもよいでしょう。
WHOでは、妊娠中のカフェインの過剰摂取に関して、
- 成長抑制
- 低出生体重
- 早産・死産
と関係があることを示唆しています。
これをもとに、妊娠中に1日あたりのカフェイン摂取量が300mgを超える場合は、これらのリスク軽減のため、カフェインの摂取量を減らすことを推奨しています。
カナダ保健省
当然ながらカナダ国内向け指針なのですが、他の公的機関にはない子供の摂取量の目安があり、よく参考にされています。
カナダ保健省のサイトに基づいてまとめると次のようになります。
健康な成人 | 1日あたり400mg以下 |
---|---|
妊娠中・妊娠予定・授乳中 | 1日あたり300mg以下 |
4歳から6歳の子供 | 1日あたり45mg以下 |
7歳から9歳の子供 | 1日あたり62.5mg以下 |
10歳から12歳の子供 | 1日あたり85mg以下 |
13歳以上の子供 | 1日あたり2.5mg/kg体重以下 |
妊娠中の基準は、WHOと同じく1日あたり300mg以下となっています。
また、先ほどのWHOの指針では妊娠中にしか触れていなかったのですが、こちらの指針では授乳中の場合も300mg以下にすべきと明記されています。
子供については、12歳まででも1日あたり85mg以下となってます。コーヒー1杯が80~100mg程度と言われていますから、やはり中学生になるまではコーヒーは控えたほうがよさそうです。
イギリス食品基準庁
以上の2つの公的機関のように、指針がある国ではほとんどが、WHOと同様に1日300mg以下を基準としているようですが、イギリスでは1日あたり200mg以下を推奨しており、他国よりも少し厳しめです。
イギリスでも、もともとは300mg以下としていましたが、2008年にリーズ大学とレスター大学と共同で行われた研究で、200mg~300mgの摂取にも低出生体重児出産のリスクがあることが示され、引き下げられた経緯があります。
公的機関が指針として出している中では一番厳しい水準であり、よく引用されています。
カフェインレスと比較してみると
世界の公的機関で一番厳しい指針でも1日あたり200mg以下です。意外に多いな、と思いませんか?
デカフェではないコーヒー100mlにカフェインが60mg含まれるとすると、1日あたり200mgというのはコーヒー約300ml分です。
杯数でいうと、2~3杯というところですから、確かに、普通のコーヒーや紅茶をがぶがぶ飲むわけにはいきません。
ですが、カフェインレスならば、カフェインは1杯あたり0mg~3mg、ココアでも1杯あたり6〜10mg程度なので、目安の200mgを杯数で換算すると、コーヒーで60杯以上、ココアで20杯以上となり、現実的に1日に飲める杯数ではありません。
つまり、デカフェやココアを飲んでいる限りは、カフェインの摂取はほとんど気にしなくても良いものと思います。
「97%カット」などとなっているように、デカフェは完全にはカフェインが除去されないことを気にされる方もいらっしゃるようですが、以上のように具体的な数字で考えてみると、桁が2つも違うわけですから、安心できるのではないでしょうか。